2017年11月17日金曜日

(190) 睡眠時無呼吸症候群に関する術前の対応

最新刊のLiSAで睡眠時無呼吸症候群の特集が組まれている。
麻酔科領域においても睡眠時無呼吸症候群がいかに重要か再認識させられる。

とはいうものの、
睡眠時無呼吸症候群に関しては、
施設間での温度差がかなりあるような気がする。

睡眠時無呼吸症候群と診断されている患者は多くない。
したがって術前診察で、
患者から、
「私は睡眠時無呼吸症候群とです。」
と言われることはおそらくほとんどない。

積極的に睡眠時無呼吸症候群を疑ってかからなければ、
術前にその有無を認識することはできない。
その際に有用な質問は、
STOP-BANGである。

S: Snoring; Do you snore loudly (louder than talking or loud enough to be heard through closed doors)?
T: Tired; Do you often feel tired, fatigued, or sleepy during daytime?
O: Observed; Has anyone observed you stop breathing during your sleep?
P: Blood Pressure; Do you have or are you being treated for high blood pressure?
B: BMI > 30 kg/m2?
A: Age > 50 years?
N: Neck circumference > 40 cm?
G: Gender male?

2項目いかならlow risk
3項目以上でhigh risk

high riskならpolysomnographyで精査を!
と言いたいところだが、
polysomnographyの実施は大変なので、
3項目以上該当した時点で、
睡眠時無呼吸症候群あり!
と考えて対応する方が合理的である。

実際、3項目以上該当すると、
8割以上で重症度の差はあるものの睡眠時症候群はある。

STOP-BANGで層別化したリスクが、
術後合併症の発生を予測できるか検討した報告は多いが、
これはmeta-analysisである。

Association of STOP-Bang Questionnaire as a Screening Tool for Sleep Apnea and Postoperative Complications: A Systematic Review and Bayesian Meta-analysis of Prospective and Retrospective Cohort Studies.
Anesth Analg. 2017 Oct;125(4):1301-1308. 
PMID: 28817421

調査の規模は23,609症例
high riskはlow riskと比較し、
術後合併症(composite outcome)は3.9倍発生し、
入院期間は2.1日長かった。

やっぱり、
術前にSTOP-BANGで睡眠時無呼吸症候群のリスクを層別化することは重要である。

そして、
high riskなら最新刊のLiSAにのっている術後管理のポイントに従って管理を行う。

あとは、
その介入によって本当にoutcomeが改善するという確固たるエビデンスがあればいいのだが。

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